TETSUGAKUMANのブログ

映画1000本観た中からおすすめ

映画「Us(アス)」ネタバレと考察 監督の悪夢を具現化

スポンサーリンク
hulu

「ゲットアウト 」で大きな注目を浴びたジョーダン・ピール監督作品。

 

Us

アス

私たちが襲ってくる。

 

今年一番待ちわびたホラー映画。

そもそもどんなストーリーか想像もできなかった。

「ゲットアウト」よりわかりづらい面もあるのであとでじっくり見ていきましょう。

 

ストーリー

テレビに映し出される「ハンズ・クロス・アメリカ」のCM。

「チャリティーに参加しよう!手を繋いでアメリカを縦断する列を作ろう!」

 

家族3人で遊園地に来ている一家。

父は陽気にはしゃいでいる。

ふと目を離すと娘はいなくなっていた。

娘はふらふらと歩き回る。

歩いていると「レビ記11:11」と書かれたダンボールを持った男。

その横を通り抜け「鏡の世界 本当の自分を見つける」(以後:鏡の部屋)的な場所に入ってみる。

鏡がいっぱいあり、自分が映し出される。

急に停電が起こり、出口を探すが見つからない。

その時、鏡に自分の背中が映る。

いや、それはもう1人の自分だった・・・

その後、娘はしばらくの間、言葉を発さなくなってしまった。

 

(時は流れて)

家族4人で夏休みを過ごすサマーハウスへやってきた。

道中で救急車に運び込まれる現場を見てしまう。

その後は何事もなく無事に到着。

父がビーチへ行こうというと母はなぜか嫌がり、娘は携帯をずっといじっている。

息子はなぜかずっと怪物のお面を被っている。

せっかく夏休みなのだからとなんとかみんなを焚きつけてビーチへ。

そのビーチには遊園地があるのだが、実は母が子供の頃「もう1人の自分」に出会った場所だったのだ。

落ち着かない母。

息子がトイレへ行くと、変な人を見つける。

赤いツナギの上にジャケットを着て両手を広げている。

右手からは血が出ている。

 

その夜、母は「帰りたい」と言い出す。

父が「どうしてだよ、せっかく来たばっかりだぞ」と言う。

すると母はこう切り出す。

母の体験

「実は、子供の頃に遊園地にある「鏡の部屋」に入ったの。

そこにはもう1人の自分がいた。

あれ以来、もう1人の自分がいつか私を殺しにくると思っていた。

今日は偶然が多すぎて「もう1人の自分が近づいている」と感じるの。

だから帰ろうよ!お願い!」

 

父は冗談交じりにそんなことはないから大丈夫だとなだめるが、母は怯えきっている。

そこに息子が来て「誰かが家の前にいるよ」と言う。

 

見てみるとそこには赤いツナギを着て手を繋いだ4人の家族のような人たちが立っていた。

「どうかしましたかー?」

反応はない。

「私有地なので用がなければ出て行ってください!」

まだ反応がない。

いよいよ父はバットを持って出て行く。

するとツナギの家族は散りじりになる。

1人が玄関へ向かってくる。

玄関を押し開けられ、窓を破られ侵入される。

「何が欲しいんだ、財布も、車もあげるから」

だが様子がおかしい。

目の前にいるのは見た目が自分たちと同じ人間だった。

母2(ツナギの方の母)が話す。

 

「人間には表の人間と影の人間が存在する。

表の人間が温かいご飯を食べている時、影の人間は生のウサギを食べている。

表の人間が可愛いプレゼントをもらう時、影の人間は尖ったプレゼントで指を切ってしまった。

表の人間が素敵な彼に出会い可愛い子供をもうけた時、影の人間は知らない男と強制的に出会い、子供を作った。

表の人間が2人目の子供を帝王切開で産んだ時、影の人間は帝王切開を自分の手でやった。

ある時、私は神の啓示を受けた。

そして影の人間を表に出すことにした。」

 

母2は母に自分で手錠をかけさせ、テーブルに繋がせた。

父2には父をいたぶるように、娘には走るよう指示を出し娘2に追わせた。

息子たちは遊んでくるようにと。

父は最終的にボートで戦い、父2はモーターに切り裂かれて死んだ。

娘はなんとか逃げ切る。

息子は息子2を狭い部屋に閉じ込める。

騒ぐ息子2を見かねて母2が様子を見に行く。

その隙に母は脱出する。

 

みんなで父のボートに乗り込みその場を離れる。

 

家の向かいにいる金持ちの友人に助けを求める。

しかし、彼らもまた赤いツナギを着た自分たちに殺されていた。

偽友人一家を殺し、状況を整理する。

襲われているのは自分たちだけではなかった。

テレビをつけるとアメリカ中で同じことが行われているようだった。

家に帰るために友人の車の鍵を見つけてみんなで乗り込む。

「家に帰ろう」

すると目の前に娘2が現れる。

襲われつつもなんとか轢き殺す。

 

家に着くと自分達の車が燃えていた。

目の前に立っている息子2。

母が言う「みんな、車から降りて!早く!」

息子2はマッチに火をつける。

見てみると、今乗ってきた車の下から油が息子2まで繋がってる。

すると息子が手を広げてゆっくりと後ろに歩き出す。

息子2も手を広げて後ろに歩き出す。

そのまま息子2は燃え盛る炎の中に入り火だるまになる。

 

しかし、後ろに下がった息子のすぐ横に母2が隠れていた。

息子は母2に連れ去られる。

息子を助けるべき救出に向かう母。

あとを追って行くと下りだけの謎のエレベーターを見つける。

そこで母と母2が対峙する。

母2が語り出す。

ネタバレ

「昔、政府はクローンを作る技術を開発した。

しかし、政府は途中でそれを投げ出した。

クローン達は地下で生き続けた。

ある時、地上の人間と「対」であることを知った。

そして地上に出ることを決意した。」

 

母2との戦いに勝った母。

彼女は思い出す。

 

どんでん返し

母が子供の時に鏡の部屋でもう1人の自分と出会っただけではなく、入れ替わったのだ。

もう1人の自分に首を絞められ、地下に連れて行かれた。

影の自分は地上へ出た。

冒頭であった「言葉を発せなくなった」のではなく「言葉を発したことがなかった」のだ。

 

母はロッカーにいた息子を見つけてこう言う。

「もう大丈夫よ、あなたを傷つける人はいなくなったから」

息子は首を横に振る・・・

 

地上に出て家族4人が再会。

救急車に乗り込み走り出す。

 

地上に出た地下の住人は手を繋いで長い列を作っていた。

 

感想

深い意味がありそう過ぎて一度ではなかなか理解でききらないです。

今回は丁寧に1つずつ象徴的なものを見ていきましょう。 

 

①監督の悪夢を具現化

私が思うのはこの映画はゲットアウト のような「メッセージ性」ではなく、割と純粋にジョーダン・ピール監督の悪夢を具現化したものだと思います。

ゲットアウト は「同期のどんでん返し」と言う味わったことのない展開が斬新だったので面白かったのだと思います。

どう言うことかと言うと「黒人差別をしているけど、本当は黒人に憧れているんじゃない?」と言うことです。

白人は様々な面で優れている黒人になりたいと思っている。

(しかし、結果として入れ替わっても奴隷のような仕事しかさせてもらえない・・・)

かなりメッセージの強い作品だったと思います。

今回は「差別」「格差」を根強く描いているものの、象徴的でぴんと来るところは少ないです。

特に地下世界の描写は非現実的で悍ましい。

なので「何が何だかわからなーい!」と言う感想で正解だと思います。

なぜなら、悪夢なんだから。

 

②ドッペルゲンガー

話の大筋はドッペルゲンガーだ。

もう1人の自分とは「対峙しなければいけない最大の敵」であり、また「死の象徴」なのだ。

人は「自分の嫌な部分」を見たがらない。

もちろんだ、そんなの見たってしょうがない。

だが、それを強制的に見せられるとしたら。

恐怖以外の何物でもない。

それを「アメリカ」に置き換えると「移民でできた国なのに移民を嫌う」。

「様々な人種で作られた国なのに、差別する」

というように存在意義自体を恐怖の対象としている。

ストーリーを構成する大きな軸として「ドッペルゲンガー」がある。

劇中で地下人間を「テザード」と言っていますが直訳は「繋がれた」という意味です。

 

③象徴を読み解く

さて、では象徴的に登場する物を1つ1つ見ていきましょう。

エレミヤ記11:11

もっとも直接的なメッセージとして登場するのがこれです。

なぜかというと、まずは「左右対称」であること。

「部屋の時計」「救急車の番号」など何度も「11:11」が出てくる。

内容を見ていこう。

 

「それゆえ主はこう言われる、見よ、わたしは災を彼らの上に下す。

彼らはそれを免れることはできない。

彼らがわたしを呼んでも、わたしは聞かない。」

 

わかりやすくいうと「神様は自分を裏切った民族に災いを与え、助けを求めてきても助けない」ということ。

 

では「彼ら(裏切った民族)」とは誰か。

それは「ユダの人々とエルサレムに住む者」である。

ただ、この映画でいうところだと「私の言いつけを破った者」を指すはずだ。

この映画では「地上で暮らす人=私の言いつけを破った者」で「災い=地下人間の襲撃」と解釈できる。

この場合の神は通常の神と想像できる。

もしくは「地下人間(クローン)=私の言いつけを破った者」で「災い=格差」かもしれない。

 この場合の神は人間である。

移民が人工的に作った国「アメリカ」。

その国を操る者=神。

弱者、貧困層=不要な存在。

 

うさぎ

うさぎはイエス・キリストの復活と関連付けられて、イースターの象徴です。

つまり「うさぎ=復活」の象徴でもあるのです。

さらに、年に何度も出産することから豊かさや豊作の象徴でもあるようです。

ただ、この地下世界ではそれが「餌」として飼われています。

聖書ではうさぎは2回だけ登場するらしいのですが、いずれも食べ物規制の内容です。

 

「野うさぎ、これは、反芻するけれども、ひずめが分かれていないから、あなたがたには汚れたものである」レビ記11:6

 

ちなみにレビ記11:11には「これらはあなたがたに忌むべきものであるから、あなたがたはその肉を食べてはならない。またその死体は忌むべきものとしなければならない。」と書かれています。

繁殖と復活の象徴を食べるクローン達。

うさぎを食べることで自分たちが「地上に復活して繁殖する」という力を得るのか。

そもそも野うさぎじゃないけど・・・

 

ハサミ

インタビューでもあるようにハサミは「対称性」のある刃物(武器)です。

もちろん攻撃として使われていますが、それよりも「切り離す」という意味が強いと思います。

表と影の存在、繋がりを切り離すために武器としては選ばれたのではないでしょうか。

初めは表と影が繋がっているので「どちらかを傷つけるともう片方が治る」というような現象があるのかと思ったのですが、それは無いようです。

最初の襲撃で母2がうるさい父に対して「体の一部を切り取るよ」と言います。

「殺す」のではなく「体の一部を切り取る」と言ったのはなぜでしょうか。

深読みすると「体の一部=生殖器」と考えましたが、確証はないです。

 

 

赤いツナギと片手の手袋

これは「囚人の服に似ている」などの指摘もありますが、実はマイケル・ジャクソンが元ではないでしょうか?

ストーリー冒頭で景品として選んだ11番のTシャツ。

それがマイケル・ジャクソンのスリラーTシャツです。

これとは違うのですが・・・

この「赤い服」が「赤いツナギ」になり、ビリージーンでマイケル・ジャクソンの象徴になった「右手だけの手袋」を真似てるのかもしれません。

マイケル・ジャクソンは差別されていた黒人達にとって希望の光です。

そのマイケルの真似をすることで力を得ようとしていると考えられます。

劇中だと「マイケル・ジャクソンのTシャツを着た女が自分の分身と入れ替わった」ことでヒーロー(指導者)になったと考えられます。

 

ハンズ・クロス・アメリカ

アメリカで行われたチャリティーイベントで10ドル募金してみんなで15分間手を繋ぐ、ということらしいです。

多分、平和を望んだイベントなのだと思いますが、監督はこの現象を「不気味だ」と感じたらしいです。

勝手な予想ですが「はいはい、お金持ちは暇でいいですね。」と思ったのではないでしょうか。

ちなみにオノヨーコも参加したらしいです。 

 

タイトル

「Us」はもちろん「私たち」という意味ですが、もう1つ「US(ユナイテッドステイツ)=アメリカ合衆国」という意味もありそうです。

父は母2に「あんな達は何者なんだ?」と聞くと「アメリカ人」と答えます。

ここで映画が「アメリカについて描かれているよ」と確定します。

貧乏で陽の目を見ないけど、それでも私たちはアメリカ人なんだと。

 

息子のお面

序盤の地上パートで唯一おかしな部分は息子のお面です。

子供だからしょうがない、ではこの映画の中では済まされない。

最後に母が実は地下側の人間だったと気づき、お面を下ろす。

というシーンがありました。

これは「この母は偽物だ」とも考えられますが「その母(偽物)から生まれた自分も偽物」という描写だったのではないでしょうか。

偽物は自分を本物と偽るためにマスクを被る。

 

エスカレーター

地下施設と地上を繋ぐのは下りのみのエスカレーター。

シンプルに「地下(貧困・差別)への一方通行」を意味しているはずです。

一度落ちたら戻れない。

浮上するのは困難です。

人一倍の努力と「下りエスカレーターだけど、登ってしまえ」という常識外れの考えが必要です。

それを実行出来た人だけが地上に上がれる。

もしくは全員で反乱を起こし、力で乗っとるしかない。

 

環境が人を変える

これは考え過ぎかもしれませんが「環境が人を変える」と言うことも格差と一緒に描いている気がします。

それは、母2があまり上手に喋れないことが理由です。

地下のクローン達は喋りません。

なので少女時代に初めて地上世界に出てきた母は初め言葉を発さない。

しかし、徐々に話すようになり、いつの間にか地上世界の一員となります。

逆に地下に行ったら話すことがなくなり、そもそも声すら出しづらくなってしまう。

「環境のせいにするな」と言う指摘が世の中にはたくさんあると思いますが、環境が与える影響は大きいということも描いている気がします。

 

④実はシンプルにこういうことじゃない?

これはジョーダン・ピール監督の悪夢全部盛り。

ハンズ・クロス・アメリカ:金持ちが手を繋いでいて怖い。

うさぎ:昔飼っていたけど目が怖い。(昔飼っていたらしい)

ハサミ:スリラー映画を象徴する武器だから使いたい。

マイケル・ジャクソン:シンプルに好き。

ドッペルゲンガー:シンプルに怖い。

これに「貧困問題」「差別問題」を盛り込んだ。

と言うことではないだろうか。

私はそう思う。

ただ、解釈するのも楽しい。

 

まとめ 

メタファーだらけで初見ではわからないことだらけだと思います。

地下の謀反はあの「エレミヤ記 11:11」の男が暴走して地上へ出てもう1人の自分を殺害して「ハンズ・クロス・アメリカ」ポーズでみんなを待っていたのか。

フリスビーは絵柄とぴったり重なるあたりの意味や理由はまだ見いだせていません。

何度か見て、付け足せることがあれば足していきます。

個人的には音楽がちょっと多かったかなーと思います。

それ以外は大満足でした!

 

もう1人の自分映画

嗤う分身

複製された自分

同監督の他の映画

ゲットアウト

キアヌ(コメディーです)

プライバシーポリシー